30代の転職で年収を比較するときは、固定残業代を含む金額かどうかだけでなく、基本給・固定残業代・固定残業時間・賞与を分けて確認することが大切です。求人票の「年収500万円」だけでは、実際の給与条件や残業代の扱いまでは判断できません。
内定後は、労働条件通知書や雇用契約書で、固定残業代の金額と対象時間を確認しましょう。固定残業時間を超えた時間外労働について、別途支給されるかも確認が必要です。
固定残業代を含む年収とは
固定残業代を含む年収とは、毎月の基本給などに、あらかじめ一定時間分の残業代を加えた給与を12か月分にして計算した年収です。求人票では、固定残業代を含む月給をもとに年収が表示されている場合があります。
たとえば、次のような給与条件だとします。
- 基本給:30万円
- 固定残業代:5万円
- 固定残業時間:月30時間
- 賞与:年2回。ただし金額は業績による
この場合、月給は35万円ですが、基本給が35万円という意味ではありません。求人票に「年収420万円」と書かれていても、単純に基本給35万円が12か月支給されるとは限らないため、内訳を確認する必要があります。
年収を確認するときに分ける項目
年収は、次の項目に分けて確認すると、求人同士を比較しやすくなります。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 基本給 | 毎月の給与のうち、固定残業代を除いた金額 |
| 固定残業代 | 金額、対象となる残業時間、対象となる労働の範囲 |
| 超過分の残業代 | 固定残業時間を超えた場合に別途支給されるか |
| 賞与 | 年収に含まれるか、支給実績か、業績や評価で変動するか |
| 手当 | 通勤手当、住宅手当、役職手当などが年収に含まれるか |
| 昇給 | 昇給の有無、時期、年収に反映済みか |
特に「年収」と「想定年収」は同じ意味とは限りません。想定年収には、賞与や業績連動の手当など、入社後の条件によって変わる金額が含まれていることがあります。
固定残業代で必ず確認する4つの条件
固定残業代の有無だけでなく、金額と時間が明確かを確認してください。最低限、次の4点を確認します。
1. 固定残業代はいくらか
「月給35万円」とだけ書かれている場合は、固定残業代が含まれているか分かりません。固定残業代が含まれるなら、月給のうち何円が固定残業代なのかを確認します。
基本給が低く、固定残業代の割合が大きい場合は、残業代の計算や賞与、昇給の基準に影響することがあります。給与の内訳を確認したうえで、現在の年収と比べましょう。
2. 何時間分の固定残業代か
固定残業代が何時間分に相当するのかを確認します。「固定残業代あり」だけでは、残業時間の目安を判断できません。
求人票や労働条件通知書に「固定残業代5万円、30時間分」と記載されていれば、金額と対象時間を確認できます。時間数が書かれていない場合は、採用担当者に確認してから判断するのが安全です。
3. 超過分が別途支給されるか
実際の時間外労働が固定残業時間を超えた場合、その超過分の割増賃金が別途支給されるかを確認します。
固定残業代は、定められた時間分の残業代をあらかじめ支払う仕組みです。固定残業時間を超えた分まで、固定残業代だけで処理できるという意味ではありません。
ただし、実際の勤務時間や割増賃金の計算方法は、所定労働時間、法定労働時間、深夜労働や休日労働の有無などによって変わります。具体的な条件は、雇用契約書や就業規則も確認してください。
4. 固定残業時間が実際の働き方と合っているか
固定残業時間が長い求人では、実際の月平均残業時間も確認しましょう。固定残業時間が30時間でも、実際の残業が毎月数時間とは限りません。
採用担当者には、次のように質問できます。
- 直近の月平均残業時間は何時間ですか
- 繁忙期の残業時間はどの程度ですか
- 固定残業時間を超える社員はどのくらいいますか
- 超過分の残業代はどのように計算されますか
「固定残業時間を超えないから問題ない」とは限りません。30代の転職では、給与だけでなく、家庭の時間、通勤時間、将来の役職や働き方も含めて判断することが重要です。
求人票の年収を実際に計算する方法
求人票に基本給と固定残業代が記載されている場合は、賞与や変動手当を分けて計算します。
- 基本給と固定残業代を足して、月例給与を確認する。
- 月例給与に12を掛けて、賞与を除く年間給与を計算する。
- 賞与の支給条件と金額を確認する。
- 業績連動の手当や未確定のインセンティブを分ける。
- 固定残業時間と、超過分の支給条件を確認する。
たとえば、基本給30万円、固定残業代5万円の場合、賞与を含めない計算は次のとおりです。
(基本給30万円+固定残業代5万円)×12か月=年間420万円
これは、賞与や一時金を含めない計算例です。実際の年収を確定するには、賞与の算定基準や支給条件も確認する必要があります。
一方、「年収500万円」とだけ記載され、月給、賞与、固定残業代の内訳が不明な場合は、500万円を確実に受け取れる金額として比較しないほうがよいでしょう。
労働条件通知書や雇用契約書で確認する
求人票は応募を集めるための情報であり、最終的な労働条件は内定後に提示される書面で確認します。求人票と内定時の条件が異なる場合は、その理由を確認してください。
書面では、次の項目を確認します。
- 賃金の総額と内訳
- 基本給の金額
- 固定残業代の金額
- 固定残業時間
- 固定残業時間を超えた場合の支給方法
- 賃金の締切日と支払日
- 賞与の有無と算定条件
- 試用期間中の給与や手当
口頭で説明を受けただけで判断せず、書面の条件と照らし合わせましょう。記載がない項目は「ない」「無料」「制限なし」と決めつけず、担当者に確認する必要があります。
30代の転職で年収を比較するときの考え方
30代では、現在の年収より高いかだけでなく、固定残業代を除いた給与や、今後の昇給可能性も確認すると判断しやすくなります。
| 比較する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 固定残業代を除いた月給 | 基本給が現在より下がっていないか |
| 実際の残業時間 | 固定残業時間と実態に差がないか |
| 賞与 | 固定額か、業績や評価で変動するか |
| 昇給 | 昇給の仕組みや評価基準が説明されているか |
| 退職金や福利厚生 | 年収に含まれない待遇も含めて比較する |
| 勤務時間と休日 | 給与と実際の負担が見合っているか |
固定残業代を含む年収が高くても、基本給が低く、実際の残業時間が長ければ、希望する働き方と合わない可能性があります。反対に、固定残業代が含まれていても、実際の残業が少なく、超過分も適切に支払われるなら、条件の一部だけで不利とは判断できません。
採用担当者への確認文例
次のように聞くと、確認したい項目をまとめて質問できます。
「提示いただいた年収には固定残業代と賞与が含まれていますか。含まれる場合は、基本給、固定残業代の金額、対象時間、固定残業時間を超えた場合の支給条件、賞与の算定方法を教えてください。」
加えて、「直近の月平均残業時間と繁忙期の残業時間も確認したいです」と伝えると、給与額だけでは分からない働き方も比較できます。
固定残業代を含む年収の確認で迷ったら
まず、求人票の年収をそのまま比較せず、基本給・固定残業代・固定残業時間・賞与に分解してください。そのうえで、労働条件通知書や雇用契約書の記載と一致しているかを確認します。
固定残業代を含むこと自体だけで転職先の良し悪しは決まりません。重要なのは、金額と時間が明確で、超過分の扱いと実際の残業時間を確認できることです。条件が書面で確認できない場合は、年収を確定額として扱わず、採用担当者に確認してから入社を判断しましょう。







